Catch me,if you wanna. - 17/20

正解は「椎名さん」

「ちなみに、えーっとあの……。名前忘れたんだけど、新しくうちに配属になった女の政府職員。ぶっちゃけ元カノとかじゃないの?」
 上目遣いで尋ねた審神者に、長義はクッ……と幸せをかみしめた。しかしそんな幸せをかみしめている素振りはつゆほどみせず、返す言葉はクールに。
「違うと言ったはずだが」
「本当に? あの人、ちょぎ君に好き好きオーラ出しまくってるけど。めっちゃ私に攻撃的なオーラ向けてくるんだけど。わたしこーんなに長義君と親しいんです! 長義君のこといっぱい知ってます、あなたは知らないでしょうけどね! みたいな感じ、あるんだけど」
「いや、本当に何も」
「本当に?」
 審神者は眉を寄せて、いかにも不機嫌そうに問う。どう見ても怒っているとしか見えない、その顔。長義はピーンときた。
「……まさか、嫉妬している?」
「…………」
「彼女に嫉妬しているのかな? どうかな? あなたの知らない俺を、彼女が知っているのが許せなかったりする?」
「…………」
 審神者は黙り込んだ。
 長義、悪い顔でさらに言い募る。だって可愛くてたまらないのだから、そりゃあ不必要につっつくような真似をする。この男、娘が出来たら必要以上に構って嫌われるタイプと見える。
「主、」
「してるよ!」
 審神者がやけくそのように、叫ぶように答えた。
「ホントもうふざけんなって思ってるよ!! また生意気なこと言われたら、グーでぶん殴ってやろうかって思うくらい腹に据えかねてるよ?! なんなのあの女!!」
 ついに、審神者がぶちまけた。
 しかも、グーでぶん殴って、のあたりで掌に拳を叩きつけ、ファイティングポーズをとり、軽快なステップとともにシャドウボクシングのような真似をしてみせる。避けて、避けて、軽いジャブで牽制、ワンツー、そしてフィニッシュブロー。腰の入ったパンチだ、もしかしたら世界を狙えるかもわからない。
 と、見とれた長義だったが、顔までにやけそうになって慌てて引き締める。
「なるほど、彼女に嫉妬するほど俺のことがお好きなのかな。男冥利に尽きるね」
「当たり前でしょ! じゃなきゃこんなに怒らない! 今度あの女がまとわりついてきたら、絶対に拒否ってよ!? 鼻の下伸ばしてデレデレしたら指を一本一本折るから!!」
 結構猟奇的なことを言う彼女に、しかし長義は内心でいよいよデレデレした。デレデレするだけして、しかし外見上はきりっとして言うのである。
「安心して。そうなったときは問答無用で叩っ斬ろう。任せてくれ、政府職員のひとりやふたりはどうとでもなる。あなたの経歴に傷は残さない」
「……いや、それはやりすぎだけど……」
 山姥切長義の持てる限りの愛の囁きに、審神者はドン引きした。

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