出会って二秒でプロポーズ - 5/13

『たまげたものを目撃した。スクランブル交差点で、ムッキムキのイケメンがシゴデキバリキャリ風のお姉さんにプロポーズされて、即座にOKしてた。どう考えても付き合ってない雰囲気の会話だったんだけど、アレなにかの撮影?』
 ベッドに寝そべりながら某SNSのおすすめタイムラインを眺めていたら、そんな投稿が目に入った。
 衝撃の内容に反していいねやリポストの数が少ないところを見ると、これがどういったものか世間は気づいているのだろう。
「はいはい、嘘乙」
 そう呟いて、投稿主をブロックする。別にフォローしているわけではないが、こういう投稿をするアカウントのポストが目に入るのは不快だ。
 そうした瞬間、モバイルメッセンジャーアプリから通知が入ってきた。家族のグループトークへの投稿で、を発信者は妹。内容はいついつの予定を開けておくように、という短いメッセージだった。
「いきなりなに? まさかの結婚報告とか」
 そんなわけがないということは、自分自身が一番よく分かっている。おそらく仕事を辞めるとか、転職するとか、はたまたバンド始めようと思ってる(※もともとそういう活動をしてきたわけではない)とか、そういうことだろうか――。
「りょーかい、と」
 返信すると、間を置かずに高笑いする某丞相のスタンプが送られてきた。追撃で、楽しみにしとくようにとのメッセージも。
 いつもは必要最低限のメッセージしか送らない妹がちょっとだけ饒舌であるということは、なにかよほどいいことがあったのだろう。
 そう考え、明石国行は了承の旨を示すスタンプで返したのであった。(ちなみにそのあとすぐに父からも、見慣れたおじさん構文での返信が寄せられた)

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